アヒルと琥珀

なんとなーくでいきてるひとがたまに書いてます。

1人の少女が大人になるまで〜Amelie解散〜

わたしが彼女を認識したのは、7年ほど前である。
当時片思いをしていた人が好きと言っていたバンドのひとつにAmelieがあったのだ。
mickという名前の彼女は他者を寄せ付けない雰囲気を持っていた。幾重にも重なった鎧をつけて歌っているのだろうと思った。その鎧を見てわたしは怖気付いてしまった。曲も聴いてみたのだが、怖かった。彼女のもつ鎧の棘がわたしにも刺さってくるようだった。


「君が為に鐘が鳴る」や「さよならバイバイ」が新曲だった2016年の秋、機会があって対バンでAmelieを初めてみた。やはり怖かった。
その年の年末にも対バンでAmelieを見た。きっとそこでわたしは心が折れたのだと思う。ここからAmelieのライブを見ることは解散が決まるまで5年弱なかった。


ただ新譜が出るたびにチェックをしていた。新譜を聴くたびに思ったのは、鎧が外れて柔らかさや優しさが出てきたということだった。怖いという気持ちが消えていった。
ドラマチック、ステップ×ステップ、ビューティフルライフ、ノンフィクション、アイデンティティ、シネマクラブ、新譜が出るごとに柔らかさ、優しさが溢れてきた。おてんばで無邪気な少女、mickが優しい大人の女性になっていくさまをAmelieの曲から感じていた。
ただ、わたし自身がここ数年ライブハウスから離れていたためライブに行く機会がなかった。いつかまた見られるだろうという油断があったのだと思う。


今年の5月1日、Amelieの解散が発表された。そこでわたしは後悔した。見に行きたいと思うだけでなくて見に行けばよかった。音源を聴くだけではなく時間を作ってライブに行くべきだった。

アーティスト写真を見て驚いた。mickの雰囲気に棘がないのだ。優しさに溢れた大人の女性になっていた。パッと写真を見た時に彼女だとわからなかったのだ。写真の様子を見て、mickはパートナーを見つけてもしかしたら大切な存在を宿しているのかもしれない…と勘づいた。その予想は6月の発表で現実のものだとわかった。


もうこれ以上後悔をしたくなかったため、ラストツアーは全て行くことにした。
最後の公演が終わっておらず、どこまでセットリストが変わるか、どこまでいっていいのかわからないため詳細は避けるが、大事なパートナーを見つけ守るべき存在を体に宿したmickが歌う曲たちは素晴らしかった。曲に彼女の幸せな感情がのり、幸せを夢見て鎧を装備していた少女が、鎧を脱いで大人になり幸せを掴んだことが伝わってくるのだ。バンドとしては叶わなかった夢もあると彼女は言っていたが、大事なものを見つけた彼女の幸せそうな顔はキラキラと輝いていた。
他の3人のメンバーも笑顔でAmelieというバンドの集大成を作り上げていた。水曜日のラストが来て欲しくないけれど、どんな集大成を見せてくれるのか楽しみなのだ。


Amelieの4人が“この道はきっと何も間違いじゃない”と思える人生を歩んでいけることを祈っている。