「この曲をどんな曲だと思って、歌っていますか?」
『忘れない日々』を課題曲にしたが、解釈迷子になった私。
曲作りを1から行っているA先生に助けを求めた。
性格とメンタル、音楽の嗜好性が私に1番近いのがA先生なのだ。
レッスン中盤、先生から聞かれた。
「この曲をどんな曲だと思って、歌ってますか?」
「失恋…ですかね。」
「私は、この曲は失恋の歌ではないと思うんです。」
目から鱗だった。
失恋の曲だと思っていた。
その後、先生の話を聞いていると、先生の解釈がすとんと腑に落ちた。
ただ、そんな経験をしたことがない私、表現できるのか…?と思い始めた。
おそらくそれが顔から滲み出ていたのだろう。
「経験したことがないから表現することが難しい時がありますよね。」
見透かされている。
「ドラマの殺人犯役って、人を殺したことがあると思いますか?」
「ないです。」
「その人たちも殺人をしたことはないわけですよね。だから似たような経験に置き換えて歌うといいですよ」
また目からポロポロ鱗が落ちた。
『忘れない日々』のような経験はしたことがない。
だが、なんだか切なくて胸がギュッと締め付けられるようなことは何回もあった。
そのことを思い出しながら歌うとなんだか少しだけ自分の曲の中に切なさが生まれてきたような気がした。
失恋の曲だと思うことをやめたこと、気持ちの置き換えを始めたことでとても歌いやすくなった。
さすがだな…と思った。
なんとなく曲に向き合うメンタルがそこでできてきた。
あっという間に本番まであと1ヶ月ほどになっていた。
そんな中、風邪をひく。
ちらつく去年の11月…。
幸いなことに声は出なくならなかったが、違和感を覚えたためいつもの病院に駆け込む。
「なんかちょっとおかしいから来ました!」とニコニコして言ったものの喉を見た瞬間の先生の顔色が変わり一言。
「結構腫れてるよ?」
発声を控えるように言われた。
素直に服薬し、発声を控えなんとか1週間で不調を脱することができた。
そんなこんなで本番1ヶ月前を切る…。
つづく