アヒルと琥珀

なんとなーくでいきてるひとがたまに書いてます。

彼のこと

わたしが彼を知ったのは彼が逮捕されたニュースだった。
有名なグループのメンバーだったということだったが、そのグループが3人であったことをわたしはそこで初めて知った。

それから何年かして、そのグループのことが好きになった。その当時まだ中学生でコンサートに行くことはできなかったが、その2人の魅力に魅せられていった。そして彼の存在もよりわたしの中で色濃くなっていった。
彼が札幌でバーを始めたという話を聞いた。その当時未成年で、北海道にも行ったことがなく、いつか行ってみたいと思っていた。彼に会ってみたい。彼はどんな人なのだろうかとずっと気になっていた。

またそれから何年かして、そのグループの札幌公演を見に行った。なぜかバーの存在をすっかり忘れていたわたし、その日にそのバーで起こった奇跡を見逃す。とても美味しいジンギスカンを食べてふわふわと眠っている場合ではなかった。まぁ仕方ないと思った。

それから少し経って、つい先日また札幌に行く機会があった。バーの存在は覚えていたが、コロナ禍で時短営業だろうと思っていた。ライブに行くとバーには行けない。残念だけどやっぱり仕方がないと思っていた。次来た時の楽しみだなぁと思いながら飛行機に乗った。

新千歳に着き、電車内で調べていると前日で時短営業が終了していたことを知る。これはチャンスだと思った。電話をかけ、彼のいるバーの予約をした。ワクワクした。

予約の時間になり、バーに行くと彼がいた。実在している!と内心驚いてしまった。彼は忙しそうにパタパタと働いて、お客さんと話していた。わたしもカウンターで今日見たライブの話を他のお客さんとしていた。楽しい時間だった。彼がいる空間で飲めることが、わたしの夢だったのだ。夢が叶ったのだと思ってグッと来てしまった。

お会計を済ませ店を出ようとすると彼が見送ってくれた。店の名前が入ったボールペンと名刺をいただいた。
一緒に写真も撮っていただいた。わたしはノーメイク、ライブで泣き目が腫れている、寝不足、飲酒でここまで揃うかと思うくらいの顔面のバッドコンディション、彼も自分の納得のいく表情ではなかったようで苦笑いをしていた。
ずっとお店に来たかったこと、人生の半分以上そのグループの曲を聴いていることをを伝えると、若いねぇと言われ笑われてしまった。
エネルギーをたくさんもらえた。


今の自然体の彼がとても素敵だと感じた。
今度、札幌に行く時も彼に会いに行きたい。