アヒルと琥珀

なんとなーくでいきてるひとがたまに書いてます。

劇場版 きのう何食べた?

これも公開を楽しみにしていた映画である。

弁護士のシロさんと美容師のケンジ、2人は長く一緒に住んでいる。その生活の中でご飯を作り一緒に食べる。そんな何気ない日常が描かれている漫画の劇場版である。

シロさんもケンジも優しいからこそ、相手のことを考えるからこそ、すれ違ってしまってうまく伝えられないということが多い。優しさから起こるすれ違いが多いのだ。2人とも悪気はない。優しさゆえのすれ違いにもぞもぞしてしまった。

作中で同じセリフが何度か出てくるのだが、ケンジが言った一言を後のシーンでシロさんも言うシーンがあった。そのセリフを言う前に素直に聞いておけばこんなセリフ言わなくていいのに…と思っていた。
ちなみにもう1つ同じセリフを違う人が言う場面があるのだが、シリアスな場面にも関わらずわたしは吹き出してしまった。お前がそのセリフを言うか…と。


2人は自然に寄り添いながら生きているが、ゲイであることによって色々な制限が出てきている。2人の幸せそうな姿を見ていると2人がゲイであることなんてすっかり頭の中から抜けてしまう。しかし、いくつかの場面で2人がゲイであることを突きつけられてしまう。突きつけられるたびにその度に胸がギュッとなって苦しくなった。幸せなのに切なくなってしまう。2人が異性のカップルであればこんなことはなかったのかなと考えてしまってぐるぐるしていた。


この映画の1番の楽しみは、ご飯の描写なのだが素晴らしかった。アクアパッツァ、厚揚げの味噌挟み焼き、ぶり大根、肉団子…。空腹でこの映画を見てはいけない!と思い、お昼ご飯を食べた後に映画を見たのだが、それでもお腹がキュルキュルとなった。
その中でもりんごのキャラメル煮はあまりにも美味しそうで、家で作ってしまった。これにハーゲンダッツは反則だ…。


この映画には悪い人が1人もいない。優しい人たちがそれぞれの人生を歩んでいる。ちっぽけな日々の積み重ねが人生を作っている。わたしたちの日常の中にもしかしたらシロさんとケンジも暮らしているのではないかと思ってしまう映画だった。

ドラマ版から入った人間なので、まだ漫画を読んでいないのだが漫画を読んでみたいなと思った。