わたしは無職になった。
この1年の職場はストレスしかなかった。性格の悪い上司、キレるとモノにあたる先輩、見て見ぬふりをする管理職…。頼れる同僚もおらず地獄だった。
最後の方は職場で声が出しづらくなり、原因不明の出血、それに伴う貧血、頭が回らずミスの連発…。倍のお給料がもらえたとしても2度とあんな場所には戻りたくないと思うほどの職場であった。
いっそ職場ごと燃えてしまえ!!と今でも思っている。
そして最後の2週間、わたしの心の中でずっとおまじないのように唱えていた言葉があった。
無職になったら髪を自由にする
世間一般からするとかなりお堅い仕事だったため、かなり髪色や髪型に制限があった。納得がいったことがなかった。
少しでも希望を持つためにいつも通っている美容院の美容師さんに髪色を相談して、あと何日…あと何日…と考えていた。イメージが湧いてきてワクワクして、なんとか退職日まで乗り切ることができた。
そして無職初日。
インナーカラーを入れに美容院に行った。
初めの段階ではインナー部分のみブリーチをする予定だったのだが、表面部分も明るくするため、全頭ブリーチをすることになった。人生初のブリーチである。緊張で吐きそうになりながら、頭にブリーチ剤が塗られていくのを見ていた。
これは、映えてません?と美容師さんに言われたものの、ど緊張のあまり良い返しができなかったブリーチ剤とブラシの写真である。
数十分後
これ大丈夫なのか。
ただの足立のヤンキーなのでは…?
前日までお堅い仕事だった人の髪色じゃないよねこれ。
ここから本当に復活できるのだろうか。
美容師さんのことを信頼はしているが、心が不安でいっぱいになった。詰んだかもしれない。どうしよう。
そう思いつつも突っ込むわけにもいかず、抜いてしまったものは何もできないし、あとにも戻れないのでまな板の上の鯉になって流されていった。
そしてさらに数十分後
これ、人として生きていけるのか?
本当に大丈夫なのか?
わたし大丈夫なのか?
ブリーチの時点で心が不安でいっぱいだったのが、さらに不安になった。もう心の中から不安が溢れ出して身体中が不安でいっぱいである。笑うしかない。もう戻れない。
そして開始から3時間ちょっと
可愛い!オシャレ!
すごいスピードで手のひら返したねジュリさん
欠けていたパズルのピースがピタッとはまるかのようにしっくりきた。これがわたしだ!と瞬間的に感じた。完成形をみたとき心が満たされてふっくらとしたのがわかった。
髪色を変えてから3日。心がずっとキラキラして、鏡を見るたびにウキウキしている。髪色ひとつなのにこんなにも変わるのかと思った。
美容師さん、わたしのわがままに付き合っていただき本当にありがとうございました!
この髪色で就職できたらいいのに…。
それは無理だと思うよ